「Zed は遅くない、むしろ速い。でも自分には合わなかった」——こんな正直な体験談がZennに投稿された。10年以上 Emacs を使い続けてきた筆者が、AI Agent連携も含めた開発体験の見直しを目的に Zed を3ヶ月メインで使い、結果的にEmacsに戻るまでの記録だ。
合わなかった理由として挙げられているのが興味深い。「既定の開発スタイルが強い」——これはZedの思想的な強みでもあり、弱みにもなりうる点だ。Zedは「思考の速度でコードを書く」という明確なビジョンを持つエディタで、プロジェクト単位の操作やAI連携がシームレスに統合されている。一方でEmacsは「自分でユースケースを定義し続けられる」自由度が売りで、設定の沼ごと含めて自分のものにできる世界観がある。また実用面では、emacs-mac から emacs-plus への乗り換えでクラッシュ頻度が減ったことも、Emacs回帰の後押しになったという。
個人的にこの記事が刺さるのは、「エディタ論争」ではなく「自分が何を優先するか」を言語化している点だ。AI Agentが強くなった時代、エディタの習熟に時間をかける動機自体が薄れていく中で、すでに手に馴染んでいるツールに戻るという判断は合理的だし、むしろ清々しい。新しいツールを試すことの価値と、慣れ親しんだツールの生産性、どちらを取るかは人それぞれ——その答えを3ヶ月かけて丁寧に出した記録として、読む価値がある。