「スモールウェブ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。GAFAのプラットフォームでも、アルゴリズムが最適化したフィードでもなく、個人が自分のサーバーで育てるパーソナルサイトの集合体だ。Wander はそのスモールウェブをランダムに旅するための、驚くほどシンプルなツールである。
Wanderとは何か?
Wanderの実体は index.html と wander.js のたった2ファイル だ。自分のウェブサイトの /wander/ ディレクトリに置くだけで、そのサイトが「Wanderネットワーク」の一員になる。訪問者はコンソール風のUIから「別のコンソールへワンダーする」ボタンを押すだけで、ネットワーク内の別のパーソナルサイトへランダムにジャンプできる。アルゴリズムも中央サーバーも存在しない。分散型のリンクリング、それがWanderの本質だ。
技術的な仕組み
仕組みは至ってシンプルである。wander.js の中にコミュニティメンバーのURLリストを記述し、ランダム選択でリダイレクトするだけ。外部APIへの依存ゼロ、データベース不要、サーバーサイド処理なし。
# セットアップ手順
1. ZIPファイルをダウンロード・展開
2. index.html と wander.js を /wander/ ディレクトリに設置
3. wander.js を編集してコミュニティURLリストを追記
4. コミュニティスレッドに自分のコンソールURLを共有
参加者が増えるほど、誰かが自分のURLを wander.js に追加してくれて、ネットワークが有機的に広がる。GitHubのスターやフォロワー数ではなく、相互リンクという古典的な仕組みで繋がっていく。
なぜ今、これが面白いのか
SNSのタイムラインに疲れた開発者たちが「個人サイトを持つ」文化に回帰しつつある昨今、Wanderはその動きに乗っかる形で登場した。Hacker Newsでも注目を集めているのは、この「インターネットの原点回帰」への共感があるからだろう。
- 発見の偶発性:アルゴリズムではなく運に任せたブラウジング体験
- ゼロトラッキング:中央集権的な行動追跡が存在しない
- 参入障壁の低さ:静的サイトやGitHub Pagesでも参加可能
- コードの透明性:2ファイルなので中身を完全に把握できる
ZennやQiitaのような技術発信プラットフォームも良いが、自分のドメインで自分のルールで書く「持ち家型」のウェブに憧れを持つエンジニアには刺さる発想だ。
試してみるなら
ソースコードは codeberg.org/susam/wander で公開されている(GitHubではなくCodbergというのも思想的に一貫している)。すでに個人サイトを持っている人は、30分もあれば参加できるはずだ。まだ個人サイトがない人にとっては、Wanderを口実に一つ作ってみるのも悪くない。スモールウェブの住人になる第一歩として、これ以上シンプルな入り口はないだろう。