「世界の地下鉄・路面電車のデータを一括で調べたい」「路線数・駅数・延長距離を横断比較したい」——そんな需要に応えるWebサービスが Hacker News に登場した。publictransit.systems は、世界各地の公共交通システムの路線・駅・車両・歴史データを集約したデータベースサイトだ。
ターミナル風UIが開発者心をくすぐる
アクセスすると最初に目に飛び込んでくるのが、CLIライクなインターフェース。
$ query --list systems
Found 9 transit systems in database
> Displaying public transit information...
こういう「エンジニアが趣味で作った感」全開のUIは、技術者として素直に好きだ。実用性と遊び心が両立しており、⌘K でグローバル検索が走るなど操作感も快適に仕上がっている。
現在収録されている9システムのデータ概観
2026年3月時点で収録されているのは以下の9路線:
- NYC Subway(ニューヨーク):472駅・25路線・日間利用者360万人。世界最多駅数
- Tokyo Metro(東京):180駅・9路線・日間684万人。年間利用者数は世界最多クラス
- Beijing Metro(北京):527駅・28路線・日間1,050万人。2023年に延長距離で上海を抜き世界最長
- CTA(シカゴ):146駅・8路線。名称の「L」は高架鉄道(Elevated)に由来
- WMATA(ワシントンD.C.):98駅・6路線・日間62.6万人
- BART(サンフランシスコ湾岸):50駅・6路線・延長131マイル
- Sound Transit(シアトル):50駅・3路線
- Light RailLink / Metro SubwayLink(ボルチモア):2システム収録
グローバル統計として 総駅数1,570・総路線89・総延長1,506マイル がまとめられており、サイドバイサイド比較ツールも用意されている。
技術的に注目すべきポイント
Hacker Newsのコメントでも議論されているが、このプロジェクトが面白いのはデータ構造の設計にある。
- 路線(Lines)・駅(Stations)・車両(Railcars)・歴史(History) を独立したエンティティとして管理
- 比較ツールで複数システムを並列表示できる設計
- APIドキュメントが公開されており、外部からデータ利用が可能
- Next.jsベースのSSR構成(ページソースより確認)
データの出典や更新頻度については現時点では詳細が少ないが、「About This Project」ページにコントリビュート方法が記載されており、コミュニティ主導での拡充が期待される。
日本の交通インフラデータ活用の文脈で考える
東京メトロはすでに収録されているが、都営地下鉄・JR・私鉄各社のデータは未収録。日本は交通ICカードのオープンデータ化が進んでおり、国土数値情報(MLIT)や GTFS-JP 形式のデータも公開されている。このプロジェクトにコントリビュートするか、あるいはこのアーキテクチャを参考に国内版を作るのも面白いアイデアだ。
交通データ・オープンデータ・地図可視化に興味があるエンジニアにとって、設計の参考になる良いケーススタディだと思う。まずは比較ツールで東京メトロとNYC Subwayの数字を見比べてみてほしい。